iyaku_bungyou日本における医薬分業の実施率−院外処方箋の発行率は約30%に近く、「分業先進地帯」の九州では50%弱です。2010年までに全国で85%までに進むと予測されています。(2015年で約70%に達しており、これで頭打ちかという意見もあります)

 くすりを調合するお薬やさん、いわゆる院外処方箋のマーケットは現在1兆円といわれ、大衆薬(風邪薬や胃腸薬など薬局・薬店で自由に買えるくすり)市場の7500億円を上回っています。流通小売業にとって「調剤ビジネスを含めたくすり」は、今世紀最後の大型商品だといわれています(晴田エミ著「医薬品業界」による。かんき出版)。

 なぜ、薬品業界、特にお薬やさんのことに触れるかというと、この本では、薬局のことが今後大きな話題の一つとして取り上げられていきます。そこで、普段、私どもが接していて、実際はあまり知らないお薬やさんについて触れておきます。

 ここでいうお薬やさんは、街のドラッグストアでなく、くすりを調合する資格をもった、調剤薬局のことです。これらの薬やさんと現在おかれている状況を紹介しておこうと思います。

 いま街の盛り場を歩くといわゆるドラッグストアといわれる大衆薬と化粧品の安売りやさんが軒を並べています。「まつもときよし」などが最大手のひとつです。消費者にとっては非常にありがたい存在なのですが、わりを食ったのは、いままでの普通のお薬やさんです。安売りのチェーン店には対抗できずに苦しい経営を強いられています。

 このような調剤薬局の生き延びていく道の一つが、「街の健康コンサルタント」としての行き方です。

 少し、バックグラウンドを説明しておきましょう。

セルフメディケーション(自己治療)とは
 まず、第一が保険医療費の高騰です。ねを上げた厚生労働省は、健康保険の改正を含め、いろいろな手段をこうじて、国民の病院離れ、保険離れを進めようと考えています。そこで考え出されたのが、「セルフメディケーション(自己治療)」という、振興策です。

これは、「軽い病気は医者にかからずに、大衆薬を買って自分で治して下さい」というやりかたです。この「軽い病気−軽医療」の医療費が保健医療の四分の一を占めているといわれ、厚生労働省はこれを何とか減らしたいのです。

 いままではほんのちょっとした病気でも、病院の保険治療のくすりの方が効き目があり、保険がきくといいうので、みんな病院へ行ってくすりをもらっていました。

日本人のかなりの人たちが 「ちょっと病院へ行ってくすりをもらってくる」 という云い方をしています。本来ならば治療を受けに行くべき場所に、「くすりをもらいに行く」という習慣がしみついているのです。この習慣を、厚生労働省は変えようとして、「セルフメディケーション」なる考えを普及させようとしています。

selfmedication そのひとつが、今まで、病院でしか出していなかった、効き目の鋭いくすりも街の薬やさんで買えるようにしようすることです。その例に山之内製薬の「ガスター10」などをはじめとする胃腸薬があります。この中に含まれているH2ブロッカーという成分は「胃潰瘍を手術いらずで治す」ということで「ドクターキラー」とまで云われた世界でもベストセラーのくすりです。

 これとある意味では対極にあるのが、生活習慣病の呼び名によって、国民の生活習慣を変え、病院離れ、薬離れを押し進めるやりかたです。生活習慣病については第5章を参照していただきたいのですが、厚生労働省としては、

・いままで、病院でしか出さなかったくすりを街の薬やさんで買えるようにして、国民の病院離れを促す。

・国民の生活習慣を変えることにより、すなわち健康への関心を持ってもらうことにより、病院離れを促す。
このような政策をとっているのです。

 すこし、遠回りをしましたが、次に「街のコンサルタントとしての薬やさん」の話に入ります。
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