CIMG0265「病気」について考える
 健康的な生き方をするには、当然のことながら、まず、病気にかからないようしなければなりません。ここで、私たちの身の回りにある「病気」について、考えてみましょう。

 中高年の方なら、日々、心にとまるのが成人病という、いやな呼び名の病気。 この成人病も最近呼び名が変わりました。

 お役所というところは、旧来の「前例」から、一歩も出ようとしないところなのですが、そのお役所、厚生労働省も、平成8年にいままで成人病と呼んでいた、ガン、心臓病、脳卒中を生活習慣病と呼び方を変えました。

 成人病と呼ばれている病気が小学生を含む未成年者にまで広がり、単に「成人」の問題ではなくなったからです。

 参考のために、「死亡総数に占める死亡原因の割合」を記しておきましょう。厚生省「人口動態統計」平成17年の資料です。(作成中)

 生活習慣病と呼び名を変えたのは、もちろん、医療費の増大に歯止めをかけようという大事な意図があります。医療費の問題については、前章で説明しましたが、平成11年の国民医療費総額は30兆円を超えているでしょう。厚生省もやっと、「病人」につぎ込む医療費の増大に悲鳴を上げて、病人を出さないようにする方策に舵を切り替えようとしているのです。

 成人病の呼び名を変えるにあたり、平成8年12月17日、厚生労働省が「公衆衛生審議会」に出した意見具申書に;

「〜疾病やその危険因子の早期発見を目的とする検診などを中心にした、成人病患者の救命や延命を主眼とした医療技術の開発・普及をはかってきたが〜」と、今までの医療が病気になった人たちを対象にしたものであることを認めた上で「患者の生活の質や、疾病予防への取り組みが十分でなかった〜」と、予防対策、すなわち、病気にならないようにする対策の不備を認めているのです(厚生省審議会議事録より)。

 そのときに厚生省が作成した「日本の疾病の要因」に次の3つをあげています。

・外部要因−病原体、有害物質、事故、など

・遺伝要因−遺伝子異常、加齢など

・生活習慣要因−食生活、運動、喫煙、休養など。

ブロスローの7つの健康習慣
 そしてこの対策として、ブレスローという人の7つの健康習慣(1972年発表)を厚生労働省はあげています。

breslow_7health_habits・適正な睡眠時間

・喫煙をしない

・適正体重を維持する

・過度の飲酒をしない

・定期的にかなり激しいスポーツをする

・朝食を毎日食べる

・間食をしない

 この健康習慣が1972年に作られたということもありますが、明らかに、現在の予防治療の考えから見ると足りないところがあります。お分かりでしょうか。サプリメント−栄養補助食品です。

 さて、「生活習慣病」には日々の生活習慣が深く関係しているわけですから、上のような指針を頭にいれて、生活習慣を改善することによって、病気の発生や進行を予防することができます。「生活習慣病にならないようにする」という予防の考え方を徹底することが必要なのです。

 生活習慣病の範囲は、ガン、心臓病、脳卒中、糖尿病、高血圧、動脈硬化、痛風などをいいます。

 それぞれの病気には悪い生活習慣が続くと発病し、悪化するという危険な要素があり、これを「危険因子」と呼んでいます。

◆「危険因子」の例を一部あげておきます:
「胃ガン」 :塩分の取りすぎ、喫煙、放射線

「肺ガン」 :喫煙、放射線

「大腸ガン」 :高脂肪食、食物繊維を取らない、大量のビール、放射線

「乳ガン」 :高脂肪食、独身、高年初産、放射線

「肝臓ガン」 :C型肝炎、B型肝炎、多量のアルコール、

「狭心症・心筋梗塞」:高血圧、動脈硬化、喫煙、ストレス、肥満、糖尿病、運動不足、寒さ、過労

「脳卒中−脳梗塞」:高血圧、動脈硬化、喫煙、ストレス、肥満、糖尿病、寒さ、過労

「脳卒中−脳出血」:高血圧、コレステロールが低い、ストレス、強い肉体労働、過労

「高血圧」 :塩分取りすぎ、遺伝、年齢、ストレス、過労、肥満、多量のアルコール、寒さ、運動不足

「動脈硬化」 :高脂血症、高コレステロール(善玉コレステロールが低い)、糖尿病、肥満、高血圧

「糖尿病」 :遺伝、飽食(多食・多飲)、肥満、多量のアルコール、ストレス

病に共通している危険因子
 これらの危険因子を見ると、共通しているものがたくさんあります。例えば、喫煙や運動不足など。タバコを吸うのをやめ適度の運動をすることによって、これらの病気のかなりを防ぐことができそうです。

 そしてお気づきでしょうか、糖尿病は糖尿病菌、動脈硬化は動脈硬化菌といった病原菌によって引き起こされるのではないということを。とすると、これは「病」とはいえ、病院でお世話になるような「病」とは少し種類が違うぞ、と思いませんか。病院にたよる「病気」ではないとすると、おのずから対処する方法が見えてきます。

 これは本来は「病気」ではなくて、「健康」の問題なのです。「健康」の問題であるうちに、対処しきれないから「病気」にしてしまうのです。 

 「健康」を保つのに必要なもの−それは、食事、栄養、運動などです。食事を改善し、栄養に気をつけ、適度の運動をすれば、よほどの重病になってしまったものでない限り、これらの「病気」は、良くなっていきます。このような食事や、栄養の問題は、学問的にみれば栄養学の範囲です。先にも述べましたが(   ページ)、日本の医学教育は栄養のことを教えません。だからお医者さんは、栄養を軽視しがちになります。

 慢性病といわれるような生活習慣病にとって、栄養学が非常に大事なのにもかかわらず、医療現場でそれにあまり重きを置かないのには、医学教育の現状があるのです。

 そして、もうひとつ、見逃せない問題がひそんでいます。
 食生活の改善などというのは、「治療」に入らず、医療機関にとってはお金にならないのです。

そうこうするうちに、「健康体」も病んできて、はっきり症状の現れる「病気」になります。そこで、くすり漬けの医療が始まり、医療機関にはお金がころがりこんできます。

 第1章の冒頭に、健康については「国はあなたを守ってくれようとはしていません」と書いたのは、こんなところにもあるのです。
ケンコーコム
あなたの毎日をガードする健康・医薬品12万点!