約2000年前、古代ギリシャにヒポクラテスという医者がいました。医学の祖、医学の父と云われる人です。医学に従事する者の心得として ”First do not harm” (まず、害を与えるな) と説いたことで有名です。

この文句を、そのまま題名にしたアメリカ映画があります。メリル・ストリープ(アカデミー賞2回受賞。マジソン群merileの橋の主演女優)主演、制作の日本語版「誤診」という映画です。

あらすじは次の通りです。  
メルリ・ストリープ扮する母親の、4才になる息子が突然発作を起こし、入院した病院でてんかんではないかとの診断を受けます。そこで薬物中心の治療を受けますがその副作用などが起こり、一向によくなりません。そこで医師が原因を探るため手術をやろうと、両親に同意をもとめますが、後遺症の恐れがあるとして、メリル・ストリープ扮する母親は悩みます。

母親は知人に、手術しなくても治す方法があるという話を聞きます。しかし、詳細が分からないので、その知人の薦めで図書館で調べたところ、断食と食事などの栄養療法で治る方法のあることを知りました。母親は病院に転院を申し出るのですが病院は認めません。

そこで、母親は病院から息子を連れだし、ジョン・ホプキンス大学のフォアマン博士の指導で3ヶ月後に息子の病気を治すことができる、というものです。
 これは実話です。

メルリ・ストリープが感動し多くの人に知らせたくて、自主制作したそうです。  なぜ、治ったのかは詳しく述べるスペースがありませんが、この療法を唱える人たちの考え方を知ればお分かりになると思います。

それは「さまざまな病的な症状の背景には汚染物質や栄養欠乏による代謝異常*がある。その問題を解決しなければ病気を根本的に治すことはできない」というものです。 

身体に異常を来したときには、代謝**のための栄養素を必要とするのです。このようなときに、薬の投与を続けると、ミネラルやビタミンが消耗し、慢性的な代謝異常になるというのです。

こうした症状は栄養素が足りないからで、それに対応する栄養補給が必要であるとしています。  このような主張に対し、栄養療法は科学的でなく、事例報告だけに過ぎないという西洋医学を基本とする医師側の反論があります。

現在の医療の多くは薬物療法と手術にもとづいています。これらはもちろん必要なことです。しかし、「1年間の車の事故より、薬の副作用で死ぬ人の方が多い。それも、医者に指示された薬の場合である」(マイケル・ジャンソン「ビタミン革命」より)という報告もあるのです。  

栄養療法に用いられる、多くの栄養サプリメントは有害物質は殆ど含んでいません。また、潜在的な毒性をもっているものはほんの少しに過ぎません。

たとえばビタミンCはどんなにとってもあなたが飲んでいる水より安全だろう、と上記「ビタミン革命」のジャンソン氏はいっています。 

てんかんに限らず、アレルギー、ガン、心臓病など、現代医療の多くの現場で使われている治療薬は、患者を治すよりもその副作用の害の方が多いといわれています。

栄養療法の必要性を説いている人たちは、くすりに頼らない、患者の身体に安全な医学の研究が必要だと言い続けています。  1996年のニューズウイーク誌に「西洋医学は21世紀に生き残れるか−薬を使わないもう一つの医学」という特集が組まれました。

栄養療法に基本をおき、病気にならない工夫をするのです。既に西欧ではこのような考え方をしている人たちが非常に多くなっています。  

*代謝異常:体内で物質が合成されたり分解されたりする化学的な反応過程が異常をきたすこと。

**代謝:体内の機能を正常に働かせる機能