人間を始め、生命を持たない物体を含めて、この世のすべてのものをどんどん分解していくと、最終的には原子になります。

mineral原子とは、酸素、水素、炭素、窒素、硫黄、リンなどの元素の最小単位です。元素は組み合わされて分子になることで体内で利用されます。ビタミンはこの多くの元素が組み合わさって出来た成分です。ミネラルはこの元素そのもののことをいいます。

「ビタミン・バイブル」という本で有名なアール・ミンデルがその本の中で「ビタミンはたしかに重要なものだが、ミネラルなしでは何の働きもしない。ミネラルこそが栄養素の世界のシンデレラなのである」と書き、その重要性を力説しています。

ミネラルは「微量金属元素」といわれ、その量が非常に少ないのですが、私たちの健康にとっては非常に大事な元素なのです。  私たちの身体は、酸素、炭素、窒素、水素の4つの元素で全体の96%を占めています。タンパク質、脂肪、糖分、ビタミンもこの4つの元素から出来ています。ミネラルは残りの4%なのです。

この4%の中の、90%を多量ミネラル(マクロミネラル)が占めており、残り10%を微量ミネラル(トレースミネラル)が占めます。  多量ミネラルには、カルシウム、リン、カリウム、硫黄、塩素、ナトリウム、マグネシウムの7つがあります。このうちカルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムの4つは、生命現象が海の中で生まれた名残りです。  

微量ミネラルには、代表的なものに、亜鉛、マンガン、クロム、銅、鉄、モリブデン、セレン、ヨウ素などがあります。これらは1日の必要量が約50mgから数百mcgと極微量のミネラルです。

ミネラルはビタミンと違い、「足し算栄養素」ではありません。「足し算栄養素」とは、壊血病にはビタミンC、くる病にはビタミンDと単純にそれだけをとれば、効用が現れるといった、不足しているビタミンを加算していく方法を仮にそう名付けました(「現代栄養学」ホームページ荒川善治氏)。

しかし、カルシウムの場合、マグネシウムやリンとの摂取バランスが崩れると十分に効果がでません。  ですから、「カルシウムを含んでいる食べ物をとっていれば、カルシウムは吸収される」と単純には云えないのです。他のミネラルとのバランスを十分に考えねばなりません。  

また、タンパク質が不足しているとミネラルは吸収されにくくなりますので、良質のタンパク質と一緒にとることが必要です。  日本の栄養学では、いままで、カルシウムが重要視されており、子供の頃から牛乳を飲まされてきた記憶をお持ちと思います。

ところが、先にも書いたように他のミネラルとのバランスが大事で、マグネシウムをとらないでカルシウムばかりとると異常が起こる可能性があるのです。ですから、多量のカルシウムを含む牛乳の飲み過ぎは危険なのです。将来、肥満、高脂血症、糖尿病になる恐れがあります。

最近、特にマグネシウムの重要性がいわれておりますが、一向に改善されていないようです。マグネシウムの必要量は1日300mgですが、これをとっている人は殆どいません。この量をとらずに運動をすると足にけいれんを起こしたり、筋肉が硬直したりします。

先にも引用させていただいた、山田豊文博士は著書「ビタミン・ミネラル革命」の中で、「多くの日本の運動選手がマグネシウム不足で選手生命を終わらせていきました。彼らがサプリメント−栄養補助食品でこれを補っていれば、事態は変わっていたに違いありません」といって、著名な運動選手の名をあげて、その早い引退を残念がっておられます。